臓器について

副腎

副腎

副腎は腎臓の上に帽子のように乗っている4-5cmほどの平べったい臓器です。左右に1つずつあり、生命維持に必要なホルモンを分泌する働きがあります。その代表はステロイドホルモンで、体内のミネラルや糖分のバランスを整え、血圧や活力に影響します。また、テストステロンという男性ホルモンも分泌し、体毛や皮膚、骨格の状態などに影響を与えています。アドレナリンに代表されるカテコラミンというホルモンも分泌しており、血圧や血糖の維持、身体の興奮や安静に影響しています。

副腎にできる腫瘍のうち、上述したホルモンを分泌する腫瘍は転移をしない良性腫瘍であっても手術で取り除くことが必要となります。2つある臓器ですので、特殊な腫瘍を除いて、通常は1つを取り除いても反対側がカバーするために、日常生活にすぐに影響がでることはありません。

腎

ソラマメに似た形をしている臓器で、腰のやや上の背中側に左右1つずつあります。成人では長さ約10cm、幅約5cm、重さ約100~150gです。腎臓には様々な働きがあり、尿を作ることで体内の水分と電解質(ミネラル)の調節、老廃物の体外への排出、体内の酸性・アルカリ性のバランス(pH)を一定に保つ役割を担っています。また、血圧の調整や赤血球の産生に関わるホルモンを分泌したり、ビタミンDを活性化させてCaの代謝を調整することで骨の成長や維持に関与したりします。

膀胱

膀胱

下腹部の中央に位置する袋状の臓器で、尿の貯留と排出が主な働きです。腎臓で作られた尿は腎杯から腎盂、尿管へと流れ、膀胱に到達します。尿がある程度たまるとその情報を脳に送り、尿意を催します。尿をためるときには出口が閉じて膀胱が進展し、尿を排出するときには出口が開いて膀胱が尿を絞り出します。膀胱の壁はたまっている尿の量によって伸縮することができ、成人では約300~500mLの尿を貯めることができます。

前立腺

前立腺

男性のみにある臓器で、精液の一部である前立腺液を射精の際に分泌します。大きさは栗の実ほどで、辺縁領域、中心領域、移行領域、前部線維筋性間質に分けられます。膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲んでいます。前立腺肥大症や前立腺がんによって中の尿道を締め付け、尿が出にくくなる状態(排尿障害)に至ることがあります。

尿道

尿道

尿道は膀胱の尿を体外に出すための通路で、膀胱に近いところ(男性では前立腺にちかいところ)は尿道括約筋という筋肉で囲まれています。尿道の主な病気は性感染症、結石、腫瘍、狭窄(手術やカテーテルをいれる操作によって通路がせまくなった状態)などがあります。尿道に異常がある際の症状は排尿時に痛む、尿がもれる、尿の出初めに血が混じる、尿が出にくい、などがあり、尿検査や内視鏡検査を行って原因を突き止め、治療を行います。

陰茎

陰茎

陰茎は排尿や生殖に関わる臓器で、中を尿道が貫いています。主な病気としては感染症、外傷、奇形、狭窄(細くなる)による排尿障害、腫瘍などがあります。異常を自覚しやすい一方、恥ずかしさで受診が遅れると取り返しがつかないことにもなりかねません。異常を感じたら早めに受診して頂くことをお勧めします。

精巣

精巣

精巣は通常は左右に1つずつあり、精子をつくる、男性ホルモンを分泌するという働きがあります。

  1. 精子をつくる
    精母細胞から精子へと成長させ、精細管を通じて精巣上体に精子を送り出します。精巣上体内で精子は更に成熟し、精管を通って精管膨大部というところで射精に備えています。
  2. 男性ホルモンをぶんぴつする
    精巣は男性ホルモンの約95%を分泌しており、筋肉や骨格の維持や精子の形成促進など、多くの働きを担っています。

精巣の疾患として外傷、茎捻転(ねじれて血流が悪くなる)、腫瘍といった救急的な疾患が多く、場合によっては夜中に手術を実施することもあります。2つある臓器ですので、何らかの原因で1つ失うことがあっても、精巣の2つの働きは維持されます。