da Vinciサージカルシステムによる腎部分切除術により腎腫瘍を摘出した患者さんへ

da Vinciサージカルシステムによる腎部分切除術により
腎腫瘍を摘出した患者さんへ
(手術中に他の手術方法に変更された患者さんも含みます)

「da Vinciサージカルシステムによるロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を
受けた腎腫瘍患者を対象とした後ろ向き大規模観察研究」について

はじめに

島根大学医学部附属病院 泌尿器科では、腎腫瘍(じんしゅよう)と診断され2011年1月から2016年3月末までに手術支援ロボットのda Vinci(ダビンチ)サージカルシステムによる腎部分切除術(じんぶぶんせつじょじゅつ)により腎腫瘍を摘出した患者さん(手術中に他の手術方法に変更された患者さんも含みます)を対象にカルテ等の診療情報から得られるデータをもとに研究を実施しております。

この研究は島根大学医学部倫理委員会の承認を経て、全国の医療機関と協同して行っています。詳細は以下のとおりとなっております。

1.研究概要および利用目的

島根大学医学部附属病院 泌尿器科では、2011年から腎腫瘍(悪性、良性に関わらず腎臓にできた腫瘍)を切除する手術を行う場合、一部の患者さんにはda Vinciサージカルシステム(以下、「DVSS」といいます)という手術支援ロボット(医療機器)を用いた「DVSSによるロボット支援腹腔鏡下(ふくくうきょうか)腎部分切除術」という方法を行ってきました。これは手術支援ロボットを用いて腹腔鏡下で腎臓にできた腫瘍だけを取り除き、健康な部分の腎臓を可能な限り残す手術の方法です。

今回の研究では、2011年1月から2016年3月末までの間に全国の60医療機関において「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術」を受けられた腎腫瘍の患者さんのカルテ、手術記録、看護記録等(以下、「カルテ等」といいます)から、データを集めさせて頂きます。さらに、このデータから手術の有効性(悪性腫瘍だった場合に癌が取り切れているか、手術後の腎臓の状態、手術を受けたことにより他の病気が起きていないか)を調査することになりました。

また、従来の腹腔鏡下手術では困難とされてきた「大きな血管の近くに位置する腫瘍(腎門部腫瘍 じんもんぶしゅよう)」、「4〜7cmの腫瘍」、「腎臓の中に埋まった状態の腫瘍」に対して手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術の有効性を評価します。そのほか、手術中のどのようなことが、術後の患者さんの腎臓の機能に影響を与えるのかを調べます。

この研究に参加される患者さんは、他の研究参加者への個人情報保護や当該試験の独創性の確保に支障がない範囲で、この試験の計画書及び試験の方法についての資料を入手又は閲覧することができます。希望される方は、遠慮なく問合せ窓口にお申し出ください。

2.研究期間

この研究は、島根大学医学部長が研究の実施を許可した日から2018年3月末まで行う予定です。

3.取り扱うデータ

患者さんのカルテ等の診療情報から以下の項目を集めさせていただきます。

患者さんの情報

生年月日、性別、ASAスコア(術前の患者さんの状態を示す数字)と時間、腎臓の状態、既往歴と合併症、腫瘍の部位、数、大きさ、位置、RENAL nephrometryスコア(手術前に手術の難易度を予測した数字)、手術日、総手術時間、出血量、輸血量、開腹手術や腹腔鏡手術への移行の有無、腎摘(じんてき)(手術時に腫瘍の切除ができず腎臓を摘出せざるを得なかったかどうか)、術後経口摂取/歩行開始日、入院期間、病理診断結果(腫瘍の種類(良性・悪性)。悪性の場合は癌の種類、癌が取り切れたかどうか)、手術中と手術後の合併症(手術が原因で別の病気が起きていないか)、腎機能(術前と術後36ヶ月までの血清クレアチニン、尿タンパクの値)、腫瘍が悪性であった場合の再発や転移の有無、予後(再発した後の病気の状態)、最終診察日

手術時の情報

腎臓へのアプローチの方法、腎動脈/腎静脈の阻血(そけつ)方法(手術時に腎臓の血液の流れを遮断したときの方法)、無阻血の場合の切除断端処理法(腎臓の血液の流れを遮断しなかった場合に切除した部分をどのように処理したか)、Early declampingの有無(腎動脈の血液の流れを遮断したあと、できるだけ早く、血液の遮断を解除すること)、冷却(手術時に腎臓を冷やしたかどうか)、尿管カテーテルの有無、コンソール時間、ロボット支援手術の範囲、腎杯開放/縫合、腎縫合、切除部補填(補填材を用いた場合の方法)、補填材の種類

機器に関する情報

適応、DVSSの種類、DVSSのロボットアーム数、アシスタントのトロッカー数、ナビゲーションシステムの有無、ナビゲーションシステムの種類、DVSSの不具合発生の有無

4. 個人情報保護の方法

患者さんのデータは研究責任者が責任をもって連結可能匿名化(れんけつかのうとくめいか)しますので、他の研究者には、その情報が誰のものか分かりません。このようにして患者さんの個人情報の保護については十分に注意を払います。

※連結可能匿名化について:今回の研究にご提供いただく情報については、患者さんの氏名、住所、電話番号、カルテ番号など、患者さん個人を特定できるような情報を全て削除し、代わりにこの研究用の登録番号をつけます。なお、研究の過程でデータがどの患者さんのものかを知る必要がある場合も想定されます。その場合に備えて、情報と患者さん個人を結びつけることのできる対応表を作成させていただきますが、この対応表は研究責任者によって鍵のかかる保管庫で厳重に管理されます。

5. 研究へのデータ提供による利益・不利益

利益今回の研究にデータをご提供いただいた患者さん個人には特に利益と考えられるようなことはございません。
不利益カルテ等からのデータ収集のみであるため、特にありません。

6. この研究終了後のデータの取り扱いについて

今回、集めさせて頂く患者さんのデータが医学の発展に伴い、他の病気の診断や治療に新たな重要な情報をもたらす可能性があります。このため、患者さんのデータは、この研究終了後も保存させていただき、他の研究に使用させていただきたいと思っています。その場合は、新たに研究計画をたてて研究に参加する医療機関の倫理委員会での審査を経て、他の研究に使用させていただきます。

データは、すべての研究が終了し、最後の研究結果が論文等で発表された日から10年間保存いたします。保存期間終了後は、患者さん個人を特定できない状態にしてデータを廃棄します。
 ただし、今回の研究終了後にデータを廃棄することを望まれていらっしゃる場合には、下記 [問い合わせ窓口]までご連絡ください。この場合には、個人を特定できない状態にして、速やかに廃棄させていただきます。

7. 研究成果の公表について

研究成果が学術目的のために論文や学会で公表されることがありますが、その場合も、患者さんの個人が特定される情報は全て削除して公表いたします。情報の秘密は厳重に守られますので、第三者に患者さんの個人情報が明らかになることはありません。

8. 研究へのデータ使用の取り止めについて

患者さん個人のデータを研究に用いられたくない場合には、いつでもデータの使用を取り止めることができます。取り止めを希望されたからといって、担当医や他の職員と気まずくなることはありませんし、何ら不利益を受けることはありませんので、下記[問い合わせ窓口]までお申し出ください。

取り止めの希望を受けた場合、患者さんのデータを使用することはありません。この場合には、個人を特定できない状態にして、速やかに廃棄させていただきます。

しかし、取り止めを希望した時点で、すでに研究成果が論文などで公表されていた場合のように、結果を廃棄できない場合もあります。

9. 参加医療機関(参加予定を含みます)

手稲渓仁会病院、恵佑会札幌病院、弘前大学医学部附属病院、秋田大学医学部附属病院、山形大学医学部附属病院、東北大学病院、ときわ会常磐病院、日立総合病院、茨城県立中央病院、戸田中央総合病院、千葉大学医学部附属病院、国保旭中央病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、東京医科大学病院、東京大学医学部附属病院、聖路加国際病院、帝京大学医学部附属病院、東京腎泌尿器センター大和病院、東京女子医科大学附属病院、湘南藤沢徳洲会病院、横浜市東部病院、東海大学医学部付属病院、北里大学病院、湘南鎌倉総合病院、岐阜県総合医療センター、愛知医科大学病院、藤田保健衛生大学病院、名古屋大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院、名古屋徳洲会総合病院、大津市民病院、滋賀医科大学医学部附属病院、京都市立病院、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院、大阪市立大学医学部附属病院、大阪府立急性期・総合医療センター、大阪府立成人病センター、関西医科大学附属病院、大阪医科大学附属病院、大阪大学医学部附属病院、和歌山県立医科大学附属病院、兵庫医科大学病院、神戸大学医学部附属病院(研究代表機関)、神戸市立医療センター中央市民病院、香川大学医学部附属病院、香川県立中央病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院、高知大学医学部附属病院、鳥取大学医学部附属病院、倉敷成人病センター、岡山大学病院、島根大学医学部附属病院、広島市立広島市民病院、広島大学病院、国立病院機構 九州医療センター、九州大学病院、大分大学医学部附属病院、熊本大学医学部附属病院
※ 各研究機関の詳細については、問い合わせ窓口にお尋ねください。

10. 研究機関

安本博晃
島根大学医学部泌尿器科学講座
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
TEL. 0853-20-2253

11. 問い合わせ窓口

この研究についてのご質問だけでなく、患者さんのデータが今回の研究に用いられているかどうかをお知りになりたい場合や、患者さんのデータの使用を望まれない場合など、この研究プロジェクトに関することは、どうぞ下記の窓口までお問い合わせ下さい。

島根大学医学部附属病院 泌尿器科 安本博晃
TEL:0853-20-2253