限局性前立腺癌に対する密封小線源永久挿入療法の治療成績

はじめに

前立腺癌の患者数は年々増加傾向にあり、前立腺特異抗原(PSA)を用いた検診の普及により、癌が前立腺内にとどまる限局癌の状態で診断される患者さんが増加しています。限局性前立腺癌の治療は外科的治療と放射線治療が主なものですが、前立腺の組織内に線源を挿入する「前立腺癌密封小線源永久挿入療法」は2003年から国内で開始され。島根大学医学部附属病院でも2005年10月から導入しております。

今回、私たちは当院で本治療を受けられた方の治療前、治療中、治療後の検査所見、治療後の経過を統計学的に解析し、有効性を検証するとともに、今後の治療選択に役立つ情報を検討します。

対象

島根大学医学部附属病院において2005年10月から2012年10月までに前立腺癌の診断で本治療を受けられた方、約200名を対象とします。

対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡下さい。

研究内容

これまでの治療経過で診療録(カルテ)に記載されている、患者さんの情報の内、治療前の前立腺癌の状態(臨床病期、組織学的検査結果、血清PSA値など)、治療内容(内分泌治療併用の有無、外照射併用の有無、治療に用いた線源の数、治療の状態を表す数値、有害事象の有無と程度)、治療後の経過(再発の有無、生存期間)などのデータを抽出し、統計学的に解析します。データの一部は癌登録制度によって収集された情報も活用します。

この研究を行うことで患者さんに日常診療以外の余分は負担が生じることはありません。

個人情報の管理について

個人情報漏洩を防ぐため、島根大学医学部泌尿器科学講座においては、個人を特定できる情報を削除し、匿名化をはかった上で研究を行い、第三者が個人情報を閲覧することがないようしております。

また、本研究の実施過程および結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれておりません。

研究期間

研究期間は承認日から2016年6月30日まで

医学上の貢献

本研究により被験者となった患者さんが直接受けることができる利益はありませんが、将来、同様の治療を行う際の新しい選択基準作成の一助となったり、治療効果の予測説明の参考となり、将来の多くの患者さんに貢献できる可能性が高いと考えます。

研究機関

安本博晃
島根大学医学部泌尿器科学講座
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
TEL. 0853-20-2253