その他

腎出血

腎出血は何のきっかけもなく腎から尿路に向けて出血した状態で、血尿が出ます。例えば、鼻を触っていないのに鼻血がツーっとたれてくる、それが腎臓に起こった状態といえます。左右のどちらかで、痛みは伴わず、しばらくするとまた血尿がなくなる、という状態を繰り返します。血尿が濃いくて血塊(血の塊)が尿管を塞ぐと、尿管結石のような腰、背部に痛みを感じます。20-40代に多く見られます。診断は血尿を来す結石や悪性腫瘍を除外することが重要で、検尿、がん細胞が尿にでていないかをみる尿細胞診、造影CT検査を行います。出血しているときに膀胱鏡をすると、左右どちらの腎からの出血かが判明します。出血の原因として、血尿の原因として腎乳頭の微小血管が破れたもの(MVR)、拡張した静脈から出血したもの(静脈瘤)、血管腫が挙げられ、ナッツクラッカー現象との関連も指摘されています。治療は出血しているときに全身麻酔で尿管鏡を実施し、出血点を確かめて電気凝固による止血を実施します。数%で繰り返すことがあり、同様の手術を実施します。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎は頻尿や膀胱痛、膀胱不快感を中心とした症状を呈し、膀胱鏡で膀胱粘膜に特有の発赤病変(ハンナ病変)を認める疾患です。難治性で病因も特定されておりません。診断は画像診断を含む各種検査で結石や悪性腫瘍、感染症などの異常がなく、膀胱鏡所見で診断します。症状に応じた薬物療法や生活改善のほか、麻酔をかけた状態で膀胱に生理食塩水を注入し、水圧で膀胱を広げるという治療(膀胱水圧拡張)が行われてきました。ある程度の有効性が報告されていますが、最近では膀胱内に麻酔薬を注入したのちに、ジメチルスルホキシド(商品名: ジムソ)という薬品を注入する治療が令和3年から開始されました。当院でも実施しておりますので、がんこな膀胱痛や頻尿、尿意切迫感などの症状のある方、他院で間質性膀胱炎と診断された方々は、是非ご相談ください。

慢性骨盤痛症候群(CP・BPS含む)

以前は、男性の慢性前立腺炎、男性・女性共に罹患する間質性膀胱炎と呼ばれていた下腹部や陰部の痛みを首相譲渡する症候群は、慢性骨盤痛症候群(CPPS)という概念で捉えられています。分類に伴い、男性の慢性前立腺炎のうち感染を伴うものは感染症として取り扱い、感染のない慢性前立腺炎(いわゆるCP)がCPPSの概念に組み込まれました。間質性膀胱炎では、ハンナ病変や点状出血を認めず頻尿や尿意切迫感、膀胱痛などを有さないものを膀胱痛症候群(BPS)とし、CPPSとして取り扱っています。

CPPSの診断は痛みや不快感、排尿を中心とした症状で、時に骨格筋の痙攣やうつ病などで症状を呈することがあります。検尿や尿細胞診、腹部超音波検査やCTといった画像診断でも異常がないことが多く、健診でも問題ないとされてしまいます。痛みや不快感は本人にしかわからず、周囲の理解が得られないことも苦痛となります。治療は薬物療法が中心で、前立腺肥大症や過活動膀胱などに使用する薬物を中心に投薬治療を行います。漢方や植物製剤、鍼灸などの有効性も報告されています。最近では、いくつかの問診票を使って症状を種類分けし、その症状に応じた治療を行っていくことが始められています(UPOINTS、ユーポインツ)。まだまだ未開の領域であるため、薬や手術でスパッと治ることはありませんが、苦痛を共有して改善にむけた治療を進めさせて頂きます。