尿路結石

尿路結石は尿の通路に結石ができ、痛みや血尿のほか、尿の通過を邪魔して腎機能の悪化や重症感染症を引き起こす可能性があります。結石の場所によって腎、尿管、膀胱、尿道結石に分けられます。

結石は腎臓でプラークが形成され、結石へと成長して腎臓から剥がれ落ちてコロコロ移動することで症状を引き起こします。最も多いのは血尿と痛みですが、血尿は肉眼ではわからないこともあります。腎や尿管の結石による痛みは、右か左かがはっきりした背中、腰、下腹部に生じます。膀胱結石や尿道結石では下腹部痛や排尿痛がよく見られます。

腎結石

結石の多くは腎臓で形成されます。腎臓からはがれて尿管へ下降すると、尿の通過を妨げ、血尿や痛みを引き起こします。腎臓にあるまま大きくなってくることもあり、1cmをこえてくると治療を検討します。

尿管結石

腎結石が尿管に下降した状態で、血尿や痛みを引き起こします。尿の通過を妨げた状態が続くと腎機能が低下するため、経過を見て自然排石を期待するか、積極的な治療に踏み切るかの判断が重要となります。痛みが強い場合や、流れなくなった尿が腎から周囲に漏れ出している(溢流)場合には、尿管ステントや腎瘻といった処置や手術を実施します。

膀胱結石

腎から下降した結石が大きくなる場合と、排尿障害によって膀胱で結石が形成される場合があります。いずれにしても、自然に排出されない大きさであれば手術が必要となります。結石が膀胱の出口にはまり込んで尿が出せない場合には、手術まで尿道にカテーテルを留置して尿の通路を確保します。

尿道結石

膀胱から尿道へ移動した結石が尿道に停滞している状況で、男性に発生します。尿が出にくい、血尿が出る、尿とは関係なくペニスの先から出血している、などの症状があります。緊急的に内視鏡で結石をつかんで摘出できることが多いですが、難しい場合には膀胱瘻(下腹部からカテーテルを膀胱に直接留置する手術)を造設し、後日麻酔をかけた状態で手術します。

小さな結石の場合、水分摂取や運動で自然に結石が出る可能性があります。5mm以上の比較的大きな結石で自然な下降がみられない場合、手術を計画します。

  1. 手術療法
    • 対外衝撃波結石破砕術
      体の表面に当てた風船の内部電極がスパークすることで発生する衝撃波を、結石に集中させることで結石を破砕し、破片が尿とともに排出されます。通常のレントゲンで観察が可能な結石が対象となります。
    • 経尿道的腎・尿管結石砕石術
      麻酔がかかった状態で内視鏡を尿道から膀胱、尿管へと進め、結石をレーザーで破砕して破片を体外に取り出す手術です。最も広く行われている結石手術で、当院でも積極的に実施しています。
    • 経皮的腎結石砕石術
      麻酔がかかった状態で背中の皮膚から腎臓に直接針を刺し、針穴を広げて内視鏡を腎臓内に挿入し、レーザーで結石を破砕して破片を取り出す手術です。特に2cmを超える大きな腎結石でこの方法がよく行われます。
    • ECIRS
      経尿道的手術と経皮的手術を組み合わせた手術で、「エシルス」とよびます。結石を破砕する「砕石」と破砕片をとりだす「抽石」の効率が高いため、当院では積極的に実施しています。
    • 手術は原則として2時間で終了し、複数回に分けて行うことで合併症を起こさないように努めています。
  2. 薬物療法
    結石の成分によっては、結石溶解療法として薬物療法が有効なことがあります。尿酸結石がその代表です。その他の薬物療法として、小さな結石を排出させることを目的とした薬物療法を実施することもあります。また、結石の再発予防を目的として尿をアルカリ化したり利尿剤を用いたりすることもあります。
  3. 再発予防
    結石の手術後は、5年で約半数の方々が再発する為、再発を予防する生活習慣が重要です。結石の成分によって異なりますが、水分摂取のほかにシュウ酸の接種制限や吸収抑制、適度なカルシウム摂取、薬物療法などがあります。そのために結石の成分分析、繰り返す方には尿の精密検査などを実施します。結石を繰り返すと腎機能が低下し、時に腎不全に至ることもあるため、注意が必要です。